ハイブリッド戦略
ハイブリッド戦略
日本において、最近、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)が話題になっています。分かりやすく説明すると、会社に属さず独立して業務を行う営業員の事です。アメリカ型に近い形です。ちなみに広告などでは、「独立的な立場の為、既存の証券会社と比較して、お客様の目線に立った優良なアドバイスが出来る」というアピールをしていますが、実態はどうかというと、少し違うようです。
IFA一人当たりの預かり資産は5億円ほどという調査もありました。これは既存の証券会社の営業員の1/4~1/5程度です。IFAの売上は言うまでもなく、お客様からの手数料。しかも彼らは固定給がないので売り上げを上げないと給料はゼロです。現在の脆弱な顧客基盤ではとてもお客様目線に立ったサービスは維持できないはずです。つまり、実際は玉石混合状態であると言えます。アメリカのように資産運用が一般的でない日本においては、会社の看板もなく個人が主体となったIFAは信用力という面でもまだまだ不安は大きく、自力でお客様を獲得する事は簡単な事ではないという事です。同時にそれはIFAが食べていく為に、お客様目線のサービスに立てていない事も意味します。
ただ、私はIFAの目指すアメリカ型への方向は決して間違っているとは思いません。同時に日本の証券会社の在り方が正しいとも思えません。よって、私はハイブリッド型証券会社をゆたか証券の目指す形にしたいと考えています。簡単に言うと、日本の証券会社とIFAの中間にあるもの。両者の良い所取りです。既存の証券会社と比較して、転勤(担当者変更)の頻度を少なく、自力獲得のお客様の比率は高い。既存証券会社と比較するとお客様との関係性は深い。反面IFAと比較すると、お客様との関係性はIFAには劣るが、会社のお客様を担当する分、全体的な預かり資産のボリュームは大きい、というものです。
具体的に述べると、当社では出来るだけ転勤(担当者変更)のスパンを長くしています。そして、会社のお客様を担当させると共に、営業員の自力開拓のお客様を増やす事に力を入れています。営業員が自ら開拓したお客様は、「生涯担当者変更をしない」「そのお客様からの売上に対する評価を大幅に引き上げる」などの営業員自身が得られる具体的なインセンティブも与えています。このような戦略をとっている証券会社は少ないでしょう。
また、お客様との関係性を構築する上で重要なのがあらゆる資産をカバーできる体制です。基本的に、今まで証券会社が取り扱ってきた商品、株式や投資信託だけでは、お客様の資産の一部しかカバーできません。よって当社では10年ほど前に幅広い保険商品を取り扱う部門を立ち上げました。さらに近年、不動産の子会社も立ち上げました。株式や債券などに加え、保険及び不動産が加われば、お客様の資産全てがカバーでき、それだけお客様との関係性も深くなるという事です。
「資産全体に対するサポートへ」
「資産全体に対するサポートへ」
証券会社が伝統的に取り扱う株式や投資信託などの投資分野はあくまでもお客様の資産の一部分です。我々がお客様と深い関係を長く構築し続ける為には、幅広くお客様の資産をケアする必要があります。となると、今までの証券会社のサービス体制では不十分です。
ゆたか証券では10年ほど前から幅広い商品を取り扱う保険部門を、3年前には不動産子会社を立ち上げました。保険分野では人生においての保証や相続対応、不動産分野ではお客様の所持する不動産の売却など、又税理事務所ともタイアップし、相続セミナーや個別の相続相談などの証券会社では今まで提供していなかった幅広いサービスを提供しています。「証券会社=株式」「証券会社=投資分野に特化」という旧来の考え方ではなく、長きにわたりお客様の資産をトータルでサポートするという考え方へのシフトが今後重要であると思います。